適応症「腎精不足 〜 腎陰虚」

腎精不足(じんせいふそく)

腎精とは肉体を形成するすべての元になるもので、かつ人間のあらゆる生命活動の元になるもの。特に成長、発育、生殖、知能・知覚・運動系の発達と維持(脳との関わり)、骨(歯)、老化と深く関係しています。この腎性が不足すると以下のような症状が起きます。

 

 

 

子供の場合

発育が遅い(骨格、歯、知能)、髪や肌につやが無くくすんでいる

 

 

 

大人の場合

白髪が多い、脱毛、歯がグラグラする、知能減退、健忘、性欲の減退、生殖能力の減退、勃起不全、インポテンツ、無月経、不妊、動作緩慢、足腰が弱くなる、歩行困難、めまい、耳鳴

 

 

 

腎陰虚(じんいんきょ)

腎陰は腎精から生み出されますので、症状としては腎精不足の症状がベースにあって、プラス腎陰虚の症状が現れます。陰と陽という言葉はご存知だと思いますが、全ての物には陰と陽があって腎にも腎陰と腎陽があります。腎陰が不足すると熱証が現れ、腎陽が不足すると寒証が現れます。今回は腎陰虚の説明をします。

 

 

 

腎陰不足(腎陰虚)とは、体内の物質的基礎の不足のことを意味します。言い換えるとこの体質の人は、食べたものを肉体の一部にする同化作用よりも、肉体の一部を使ってエネルギーに変換する異化作用の方が勝っているため、常に不足の状態にあります。こうなると熱の症状、乾燥の症状が出てきます。場所は腎なので下半身の症状が現れます。

 

 

 

腎陰虚の症状

体の熱感(午後に多い)、手足が熱い、顔(頬)が赤い、寝汗、尿色が濃い、舌が紅い、舌の苔が少ない〜無い、舌が痩せる、体が痩せる、各種乾燥する(皮膚、粘膜、頭髪、爪など)、足腰が弱って力が入らない、腰痛、大便乾燥、男性は性欲の亢進、精液が少ない或いは勃起が持続しない、女性だと生理の量が少ない、生理不順、不正性器出血、無月経。

 

 

とくに虚熱(熱症状)が酷くなると出る症状

頭痛、イライラ、ふらつき、目の充血、視力障害、不眠、動悸など

 

 

 

六味地黄丸の特徴

構成生薬

  • 熟地黄(じゅくじおう) 腎精を補う 腎陰を補う
  • 山茱萸(さんしゅゆ) 腎精を補う 肝陰を補う
  • 山薬(さんやく) 腎精を補う 脾陰を補う

 

上記三つの生薬が腎精を補います。しかし味が甘くて消化に悪く、気血のめぐりを悪くし、かついらない湿までも生むために、そうならないようにするために次の3つの生薬も配合されています。

 

  • 沢瀉(たくしゃ) とくに湿をさばく
  • 牡丹皮(ぼたんぴ) とくに血を動かす
  • 茯苓(ぶくりょう) とくに甘い味を軽くする

 

 

 

六味地黄丸は元々子供用に作られた漢方薬

五遅・五軟といって首がすわる、立つ、話すといった成長・発育が遅い子供用に作られた漢方薬が六味地黄丸です。上にも書きましたが、原因は腎精不足。腎精不足を改善する漢方薬が、六味地黄丸です。

 

 

 

超高齢化社会に六味地黄丸

男性は8の倍数で、女性は7の倍数で、腎が発達します。腎の力が最も旺盛になるのは、男性は32歳、女性は28歳です。そこを頂点に腎の力は、下降していきます。腎の衰えはすなわち腎精の衰えで、白髪が目立ち始め、抜け毛、体力・精力・視力・聴力・知力、足腰、骨・歯の衰えが徐々に始まります。これは避けては通れませんが、健康で長生きするには腎精不足にならないことがこれまでの説明でお分かり頂けると思います。六味地黄丸は、腎精を補える漢方薬です。健康寿命と平均寿命の差が、男性9歳・女性13歳です。これをいかに縮めるかが超高齢化社会に生きる私たちの突き詰められた課題です。これを解決する一つが、腎精不足を補うことにあります。

 

 

 

40代での出産は、腎精不足を加速させる

むかしは20代で出産するのでこのようなことはほとんど問題にはなりませんでしたが、40代で出産するのは腎精に大ダメージを与えます。ただでさえ腎精が衰えて行く年齢であるのに、そこで腎精を使う出産が重なるために腎精はガタガタになります。のちに認知症に直結するほどの行為ですので、腎精を一生かけて補って行くことをおススメします。

 

 

 

歳をとって歯を抜くと腎精不足を加速させる

漢方の先生のお父様のお話ですが、ある時に歯医者でいっぺんに歯を3本抜いて来たそうです。それまで元気だったお父様がそれ以来いっきに衰えが目立ち、足腰も弱くなったのでしょう、ある日転んでしまって大腿骨を骨折されて入院。退院することなく亡くなられたそうです。歯を抜くと腎精不足を加速させますので、日ごろから歯を大事にして出来るだけ歯を抜かないように心がけましょう。

 

 

 

男性不妊も概ね腎精不足

胃腸が弱いとかストレスフルとかなくて精液の量が少ない・運動率が悪い・奇形率が高いなど精液に問題があれば概ね腎精不足と言えます。ものすごい数値が悪くても腎精不足を補ってあげるだけでビックリするくらい数値が改善される方が多いです。男性不妊の場合は、理論的には六味地黄丸も良いですけれど、私は別の腎精を補う漢方をおススメしています。男性不妊の記事は、コチラをクリックしてください。

 

 

 

更年期障害も腎精不足がベース

更年期は、閉経を挟んだ10年間を言います。この期間は、加速度的に腎精の量が減る期間です。卵巣機能が低下し、ホルモンの分泌が急激に減少しホルモンバランスが崩れる時期で、腎精不足と重なります。更年期の10年間を心身ともに健康でいるには、腎精が必要となります。更年期障害を詳しく解説しているページはこちらです。

 

 

 

  • この記事を書いた人: 国際中医専門員 医薬品登録販売者 三ツ川道洋
  • この記事を監修した人: 薬剤師 三ツ川亜希
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