月経前症候群(PMS)と漢方月経前症候群(以下PMS)は、生理の3〜14日前から続く精神的な症状と肉体的な症状で、多くの人は生理が始まると症状は無くなります。女性は生理前になると卵胞ホルモンと黄体ホルモンがたくさん分泌されておりこれが原因ではないかと言われていますが、これだけでは説明がつかない多くの要因が関わっています。人によって症状は様々で200種類ほどあるそうです。以下代表的な症状をご紹介します。PMSの代表的な症状ココロの不調イライラする怒りっぽくなる落ち込むため息泣きたくなる、泣く落ち着きが無くなる普段は気にならないことでも気になるetc・・・カラダの不調胸が張ったり痛くなる脇が痛くなる咽が詰まる胸が苦しくなる頭痛目の奥が痛くなる寝つきが悪くなる鼠径部が痛くなるお腹が張る便秘吹き出物が悪化する排卵痛昼間の眠気疲れやすくなる体がだるくなるetc・・・漢方的にはPMSを肝欝気滞証(かんうつきたい)と診ています漢方においてはPMSの一連の症状は全身の気の巡りの滞りが原因であると考えています。上記のココロとカラダの代表的な不調はすべて気帯(気の滞り)から起こります。気滞の特徴は、まず張りです。それから『不通則痛(ふつうそくつう)、通じざれば則ち痛む』という理論があり、滞りが強いと痛みが発生します。また、病位(病気の場所)を肝臓と考えています。漢方は肝臓のことを解毒する臓器とは見ておらず、現代医学的には自律神経の機能調節する場所だと考えています。また、肝臓の経絡が走っている場所に症状が起こりやすく、肝臓と表裏関係の胆経が走る経絡の場所にも症状が起こりやすくなります。具体的には、頭のサイド・耳の周り・目・脇・胴体のサイドの部分・お腹のサイド・鼠径部と上記の症状と合致しています。臨床的にはPMSの症状をお持ちの方は、雨や曇り・低気圧・台風が来る時にも不調を訴える方が少なくありません。予防、養生まず3食きちんと栄養を摂ることが基本です漢方的に説明すると肝臓は充分な血が必要な臓器なので、血が少ないと上手く働けません。血を生み出す源は、食事です。食事をおろそかにしているとPMSが起こりやすくなるのです。コンビニやお惣菜、外食等々で済ますことが多い方は、十分な栄養を摂れていません。出来るだけ手作りの食事の回数を増やしていって下さい。滞りやすい体質なので、運動やストレッチなど体を動かすこと説明するまでもありませんが、運動すると全身の滞りを一発で解消してくれます。運動する時間の無い方は、毎日のストレッチもかなり有効ですよ。なんか楽ってなりますから今すぐ実践してみて下さい。日頃から十分な睡眠をとること健康な体を取り戻すには、睡眠も重要です。睡眠中に成長ホルモンが分泌され、あらゆる体のメンテナンスをこのホルモンがやってくれます。ありがたいホルモンです。だから寝ないといけません。しかもこの成長ホルモンは、夜の11時〜1時の間でたくさん分泌します。また深い眠りであればある程たくさん分泌します。ですから不調で困っている方は、何もかもほったらかして夜10時に寝てください。そうるすると11時にはバッチリ深い眠りの中ですから。これも実践してください。食事やお茶、アロマなどで香りを意識する肝欝気滞の代表方剤の一つ『逍遥散(しょうようさん)』には、サイコと薄荷。もう一つの代表方剤『柴胡疎肝散(さいこそかんさん)』には、サイコ・ミカンの皮・ミカン・香ブシ。とどちらも香りの良い生薬を使って肝欝気帯を治療します。つまり香り成分は、気の滞りを解消してくれるのです。ですから普段の食事においてもパクチー(コリアンダー)、三つ葉、紫蘇等々の香草や柑橘系の皮を取り入れ、紅茶を飲むにもミントティーにしてみたり、お風呂屋やリビングでくつろぐ時にアロマをたいて香りを上手に取り入れることをやってみて下さい。その他PMSと肝臓が深くかかわっていることを上で述べましたが、肝臓と目の関係は、植物の根と花の関係と同じで実はつながっています。ですから涙を流すことで肝臓の気の滞りが解消されますので、映画とかドラマを観て泣くということも予防や治療の一環となります。これも是非是非取り入れてください。最後に当薬局は婦人科の患者さんが多いのですが、症状の軽い重いはありますが、たいていの方がこの肝欝気帯を持っていらしゃいます。軽い方ですと1ヵ月で良くなられますし、非常に重い方でも半年も服用すればかなり楽になったと実感していただけます。どちらかというと漢方にかかれば、PMSの改善は比較的容易であると思います。是非ご相談にいらしてください。この記事を書いた人: 国際中医専門員 医薬品登録販売者 三ツ川道洋この記事を監修した人: 薬剤師 三ツ川亜希PMS漢方症例 K.K.さん 30歳 PMS:生理の二日前になると顕著に体調が悪くなる、発熱感(のぼせ)、頭痛、体のだるさ、下腹部の軽いつっぱり感、吹き出物(あごと口回り)、下痢や便秘、頻尿、時々胸が張る 漢方服用3ヵ月で改善、服用5ヵ月で自然妊娠 Y.Y.さん 36歳 PMS:気分が落ち込む・気力が低下する・倦怠感・やや腹痛 漢方服用3ヵ月で改善 I.N.さん 38歳 PMS:少しイライラする、胸の張りが酷い、息苦しい、時々吐き気、足がだるくなる、時々ガスがたまる、便がゆるくなる、夜間尿 漢方服用2ヵ月半で改善 M.K.さん 37歳 PMS:イライラする、胸の張痛、仕事の能率が落ちる 漢方服用2ヵ月で改善 冷え性や肩凝りを漢方で改善して臨んだ3回目の移植で妊娠されました【移植に向けて漢方服用】 約1年不妊、卵巣チョコレート嚢胞(子宮内膜症)、漢方薬を服用して自然妊娠され、希望通り手術回避に成功されました【自然妊娠】 フーナーテスト不良ご夫婦 漢方を取り入れ5回目の人工授精で妊娠【人工授精】 不育症38歳 流産することなく安定期 前回も漢方併用で無事に出産【夫リンパ球免疫療法】 産後生理不順を漢方で改善。服用から4ヵ月で妊娠されたが流産。そこから2年3ヵ月後に自然妊娠していただきました。【自然妊娠】 1年8ヵ月不妊 内膜5mmと薄くfshが少し高めの42歳 女性 3回目の移植で妊娠 漢方服用約9ヵ月【顕微授精】 男性不妊の夫を持つ36歳女性 自身は高PRL血症、不育症 ご夫婦で漢方薬を服用していただき妊娠されて現在は安定期を迎えられました。【体外受精】 約3年不妊。36〜37歳の時に医者から早くした方が良いと体外受精を受けるも妊娠に至らず。心身ともに疲れ漢方薬をスタート。服用から1年後に臨んだ顕微授精で見事妊娠されました!妊娠時は39歳でした。【服用約1年で妊娠】【顕微授精】 35歳 女性 LH/FSH比1以上 1年10ヵ月不妊 漢方服用約2ヵ月で自然妊娠【服用約2ヵ月で自然妊娠】 39歳 女性 基礎体温が低い 冷え性 PMS 生理痛 妊娠症例【服用約8ヵ月で自然妊娠】 30歳 2年不妊 周期が35〜40日間 体温の起伏が激しい 低温期と高温期の差がない 高温期の途中体温が下がるタイプ 漢方服用3ヵ月で妊娠【服用約3ヵ月で自然妊娠】 33歳 多嚢胞性卵巣症候群 排卵期の不調 不正出血 漢方併用で10ヵ月で妊娠(タイミング療法)【服用約10ヵ月で自然妊娠】 3年不妊 体外受精で妊娠できず、漢方薬を半年間服用して自然妊娠していただきました。黄体ホルモンが10未満・両側の卵管が狭い・低温期が長い・高温期の途中で体温が下がる・TH1が優位【服用約6ヵ月半で妊娠】 29歳 女性 多嚢胞性卵巣症候群、無排卵。漢方服用約3ヵ月で妊娠していただきました。無事に安定期を迎えられました。【服用2ヵ月20日で妊娠】 40歳 女性 二人目も当薬局の漢方薬で妊娠されました。【服用5ヵ月後の移植で妊娠】 2回目の人工授精(AIH)で妊娠するも6週で流産。その後8回のAIHをした結果、卵巣が反応しなくなり卵胞の育ちが悪く、内膜も5〜6mmと薄くなる。漢方薬を服用することで卵巣機能が復活し、自然妊娠され流産することなく安定期を迎えられました。【服用2ヵ月で自然妊娠】 2年半不妊 夫婦で体質改善 その後顕微授精で妊娠され、もうすぐ安定期【最後の移植まで服用1年4ヵ月】【顕微授精】最終更新日: 2020.11.05