初婚年齢の高齢化による不妊漢方療法のあり方

初婚年齢の高齢化による不妊漢方療法のあり方

不妊漢方に携わり日々経験して感じたことを綴っています。ご参考にしてください。
三ツ川道洋
三ツ川道洋

女性は35歳になると急激に流産率が上がる

 

2019年のデータで平均初婚年齢は、夫31.2歳・妻29.6歳となっています。(厚生労働省調べ)結婚して子供を作る場合、齢は非常に重要です。40歳を過ぎても出産している芸能人の報道などの影響で、子供が欲しい時にはいつでも産めると思ってらっしゃる方も少なくないと思いますが、それは大きな誤りです。女性は35歳になると急激に流産率が上がることが分かっていますように、子供を望む場合やはり年齢は考慮に入れておくことが必要になります。

 

 

 

29歳で結婚して1〜2年は2人だけの結婚生活を楽しみ、子供はそれからというプランを立てていると、1人目はできたとしても2人目は難しくなります。2人目不妊という言葉があるように、原因は上述したことがらが背景にあります。

 

 

 

不妊に対する漢方療法もこういったことを考慮に入れなくてはなりません。漢方的に女性は7の倍数で歳をとると考えられていて、21〜28歳が子供を作る上でのピークと考えます。平均初婚年齢が29.6歳ということは、子供を作る能力がピークを過ぎつつあるということですから、漢方薬もピークを取り戻す、或いはピークを維持するようなものを積極的にとる必要があります。

 

 

 

八味地黄丸(はちみじおうがん)は、植物性ばかりの漢方薬で力はかなり落ちます。

 

生殖能力をつかさどる臓器は漢方では”腎(じん)”であると考えています。すなわちこの”腎”の機能を高める漢方薬が、妊娠力のピークを取り戻す、或いはピークを維持する漢方薬で、具体的には鹿茸(ろくじょう)や紫河車(しかしゃ)や魚鰾(ぎょひょう)といった動物生薬が配合された漢方薬になります。専門書をひも解くと腎を高め不妊に良いとされる項目には必ず鹿茸(ろくじょう)や紫河車(しかしゃ)が出てきます。

 

 

 

ちなみに八味丸(はちみがん)或いは八味地黄丸(はちみじおうがん)は、同じく腎を高める漢方薬ではありますが植物性ばかりの漢方薬で、力はかなり落ちます。また、八味丸には胃腸に負担をかける生薬が多く配合されていますので、胃腸が弱い方には向きません。同じ植物性の生薬を選ぶにしても他にもっと効果のある生薬がありますので、私はあまり八味丸を使うことはありません。また不妊でよく当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・加味逍遥散(かみしょうようさん)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が処方されていますが、これらは今申し上げた腎の機能を高めるような効果は全く期待できません。

 

 

 

ツムラの漢方エキス画像

 

 

 

やはり時代や社会の変化に目を向けて、漢方もその変化に対応して行くことが大切で、不妊治療において腎の機能を高めることが、結婚の高齢化に対するひとつの治療の柱になると考えます。

 

 

 

※年齢的な側面から不妊漢方治療について述べましたが、年齢的な衰え以前に改善しなければならない体質がある場合は、当然そちらも考慮しなければなりません。これさえ服用すれば大丈夫という漢方薬・健康食品というものは、存在しません。体質・年齢・季節等、総合的にみてお一人お一人に合った漢方薬・健康食品を選んでいかなければなりません。当然そこには、経験も必要になって来ます。

 

 

 

  • この記事を書いた人: 国際中医専門員 医薬品登録販売者 三ツ川道洋
  • この記事を監修した人: 薬剤師 三ツ川亜希

 

 

 

最終更新日: 2022.11.01

 

 

 

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