※1 のちに免疫異常と診断
※2 漢方的な血流異常とは別です
冷え性(1年中)、頭痛、肩こり、暑がり、悪心、白髪、時間に追われ心に余裕が持てない、疲れがたまりやすくなる、流産のたびに円形脱毛症
不育症、喘息
服用2ヵ月
・生理痛が軽くなる
・生理中の下痢消失
・高温期が安定する
・冷え性は変わらず酷い
・頭痛
服用3ヵ月
・生理痛軽め
・生理中の下痢消失
・生理前の落ち込みなし、不正出血なし
・高温期に2回体温が下がるもグラフの形は良い
・冷え性は変わらず酷い
・ストレスで不眠傾向
服用4ヵ月
・妊娠されるもHCG値が下がり流産
服用6ヵ月
・内膜5.9mm(17日目)
・リンパ球移植
・高温期にルトラールとバイアスピリン
・冷え性に変化、温かく感じる日が出てくる、高温期は足を出して寝ることも
・気持ちに余裕が出てくる
・もたれることが無くなる
・生理痛:久しぶりに少し強めに出る、クスリを服用する
・2日間、不正出血
・基礎体温の形がかなり良い
服用7ヵ月
・病院の検査で夫婦間の免疫上の相性が悪い、さらにFSH高値、AMH0.7(年齢から2〜3欲しいところ)
・リンパ球移植
・高温期にルトラールとバイアスピリン
・内膜5.8mm(10日目)
・基礎体温の形は、漢方服用前と比べればかなり良い
・生理痛なし
・頭痛2〜3回程度
・冷え性、仕事中のみ冷える
・一度もたれる
・夢を多く見る
・仕事・病院・プライイベートで心身ともに疲れ気味
服用8ヵ月
・リンパ球移植
・高温期にルトラールとバイアスピリン
・内膜9.4mm(11日目)
・基礎体温の排卵時の上りも良く、高温期も以前に比べて安定する
・妊娠を期待しダメだったので落ち込む
・服用6〜7ヵ月で体調が良くなり、妊娠への過度な期待が反動となり不安や焦りが募り、頭痛や冷え性につながる
・頭痛5回
・生理痛(お腹と腰)
・冷え復活(但し、くつ下を履くと回復する。以前は履いても冷えたままだった。)
・2日間不正出血
服用9ヵ月
・内膜7.4mm(10日目)
・HCG5000注射
・高温期にルトラールとバイアスピリン
・基礎体温の高温期がこれまでで一番安定する(まったくガタガタせず。)
2016.09.27 妊娠判定陽性(5週4日)
2016.10.11 心拍確認(7週4日)
2016.10.15 リンパ球移植
2016.10.25 9週4日、心拍(+)で順調
2016.10.29 リンパ球移植
2016.12.12 安定期に入ったとのご報告
・酷かったつわりも落ち着き、体調も上向き
・妊娠され赤ちゃんも順調に育っているとのことで、心の状態が安定しているとのこと
・それによって冷えはそこまででもなく(12月)、頭痛はゼロとのこと
・あれ程好きで飲み忘れることもなかった漢方薬が、心身ともに回復するとともに自然に欲しくなくなり、止めても体調の変化はありません。とのことで、ここで漢方薬は休薬
漢方薬の服用開始から4ヵ月で妊娠されるも流産。今から振り返ってみますと、これはまだY.Y.さんの証(体質)を十分に把握していなかったから。これに尽きると思います。
不育症克服のポイントは、冷え性でした。これを漢方的にどう診るか。気の偏りから起きている冷えなのか、栄養不足から起きている冷えなのか。最初の数か月間は、どちらなのかぼやけた状態であり、処方も安定しませんでした。そういうことで4ヵ月で妊娠していただきましたが、処方の方向性がバッチリと定まっていなかったため、その分体質改善が不十分でした。
服用から5ヵ月後、冷え性は気の偏りだけで起こっているとようやく掴むことができ、その方向で漢方薬をお出ししたところ、次のご来店で「なかなか温かい。」と仰っていただきました。この結果と他の自覚症状から合わせてY.Y.さんの不育症最大の原因は、気の偏りであり、それが全身の血行不良につながり、夫婦間の免疫異常につながっているものと判断しました。そこで肝経・胆経・腎経の気の偏りを改善する漢方薬に他も変更し、その3ヵ月後に妊娠、流産することなく順調に安定期を迎えていただきました。
冷え性を治せば直ちに不育症が治るとかそういったことを、ここでお伝えしたい分けではありません。患者の証(体質)を正確に把握し、その証にピタリと合った漢方薬を選択することで、異なる疾患を治療することができることをお伝えしたかった分けです。これを漢方では『異病同治(いびょうどうち)』と言います。
Y.Y.さんの場合、気の偏りにより起きていた冷え性以外に頭痛が起きたり、あまり起きないような円形脱毛症に何回もなったりと、気の偏りがかなり体に負担をかけていました。気の偏りを緩和・改善することで、不育症克服につながった症例でした。Y.Y.さんは病院にも通われていて、不育症の検査・治療(夫リンパ球移植)も受けられていますので、漢方単独ではなく病院治療と併用し、互いに補完することでうまく行った症例とも言えます。
夫から採取した末梢血からリンパ球のみを分離した夫リンパ球を妻に皮内注射して、夫リンパ球に対する免疫を獲得させる治療法。原因不明の習慣性流産の治療として行われているが、その有効性は不明(参考文献 病気がみえるvol.10産科)
夫リンパ球免疫療法を積極的に行っていた杉俊隆医師は現在は否定派の立場。先生がお書きになった記事がコチラ。