コロナ後遺症（新型コロナウイルス感染症の罹患後症状）と漢方

コロナ後遺症とは

厚生労働省のHPには、以下のように説明されている。

COVID-19の罹患後症状（いわゆる後遺症）は、COVID-19に罹患した後に、感染性は消失したにもかかわらず、他に原因が明らかでなく、罹患してすぐの時期から持続する症状、回復した後に新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般をさしています。WHOは、「post COVID-19 condition（long COVID）」として、「新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）に罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。通常はCOVID-19の発症から３ヵ月経った時点にもみられる」　としています。

コロナ後遺症の症状

倦怠感、疲労感（以前のように動けない）、気分の落ち込み、思考力の低下、集中力の低下、頭痛、息切れがして歩くのが辛い、不眠、動悸、体の痛み（関節痛）、臭覚障害（においがしない）、食欲不振、味覚障害（味がしない）、脱毛、微熱、咳、ブレインフォグ（頭の中に霧がかったようになる）、記憶障害、下痢等。

イギリスの科学雑誌NatureのHPで調べてみると更に以下のような症状や疾患が報告されている。勃起不全、精子数の減少、月経前症候群の悪化、月経不順、耳鳴り、胸痛、呼吸困難、糖尿病、膵臓機能障害、腹痛、腸内毒素症（腸内細菌のバラスの乱れにより起きる不快な症状）、凝固障害、深部静脈血栓症、微小血管症、肺塞栓症、脳卒中、臓器の障害、認知障害、自律神経失調症、脳の炎症、脳血流の減少、長期間ウイルスを排出等。

Natureによると新型コロナウイルス感染症にかかった人の少なくとも10％の人がコロナ後遺症となっている。世界中で少なくとも6,500万人が罹患している計算となる。そしてコロナ後遺症の症状は、200以上確認されているとのこと。

コロナ後遺症と漢方

先ず普通の風邪は、漢方では表証といって病気の原因が人体の表面にいると考える。普通の風邪に使う漢方薬は、みなさんご存じの葛根湯や麻黄湯、桂枝湯、銀翹散などである。対して新型コロナウイルス感染症は、普通の風邪ではなく、裏証といって病気の原因が臓腑にある。それは上記のNatureの発表にあるように証明されている。つまり新型コロナウイルスによって生殖器、脳、心臓、肺、大腸、膵臓などがやられるのだ。であるので普通の風邪（表証）に使う葛根湯、麻黄湯、銀翹散、柴葛解肌湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏などは、新型コロナウイルスには全く効果は無いといえる。

コロナ後遺症を治すには、障害を受けた臓腑を見つけ出して、その傷ついた臓腑を元に戻してあげなければならない。機能が亢進している場合は、亢進を抑え込む。機能が低下している場合は、機能を上げてあげる。炎症が起きている場合は、炎症を取る。木剋土や火剋金など剋が走っている場合は、それを止めなければならい。コロナ後遺症の漢方治療は、このように進めていかなければならない。君火、相火、脾と胃、これらが鍵となる。

因みに真武湯・茯苓飲合半夏厚朴湯・十全大補湯・人参養栄湯・桂枝茯苓丸・加味逍遥散・当帰芍薬散・七物降下湯・桂枝加朮附湯・六君子湯などは、今書いたことは全く出来ない。これらの漢方薬を使ってコロナ後遺症の治療にあたっているという情報が散見されるので一応書いておくことにする。これらの漢方薬を服用してもコロナ後遺症は治らない。コロナ後遺症は日にち薬で治る人もいるので、もし治ったのであれば自身の自然治癒力で治ったのであって、これらの漢方薬で治った分けではない。

• この記事を監修した人：薬剤師 三ツ川亜希

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