漢方相談で、食欲があるか無いかを質問しますと「食べています。」という様な返事がよく返ってきます。これはちょっと的を外れた回答になります。食欲があるとは、お腹が空いている状態のこと。食欲が無いとは、お腹が空かない状態のことを言います。食べるとは、関係ありません。つまり食欲不振とは、食欲が無いことを指します。食べる量とは、関係ありません。それから食欲が無くても食事の時間が来たら普通の量を食べている人は結構います。このタイプの方々も、食欲不振に該当します。

 

 

 

漢方では、“食欲の有無”に関しては『脾(ひ)』※の臓腑に関係します。また、“食べられる・食べられない”に関しては、『胃』の臓腑に関係します。ただし、『脾』と『胃』は表裏の関係にあり、臨床的には同時に症状が出ることが多く、『脾』のクスリ・『胃』のクスリと区分されているというよりは、同時に治療できる『脾胃』のクスリの方がメジャーです。

 

 

 

『脾』は、後天の精と言われていて、命を保つためにとても重要な臓器と漢方では位置づけています。命を保つだけでなく健康に毎日を過ごすにも、『脾』が健康であることが必要です。逆に言いますと慢性病を患っている患者さんや虚弱体質の方は、『脾』が弱っている方が多くいらっしゃいます。不妊症にも『脾』が弱い方が見受けられます。

 

 

 

食欲不振という症状は、単に胃腸の不調にとどまらず、寿命や健康であることと直接関係していますので、放っておかずしっかり治していただきたいと思います。以下、食欲不振をタイプ別に分類します。

 

 

 

1.脾胃気虚型(胃腸虚弱)

  お腹が空かない・少食・食後の膨満感・軟便がち・食べ過ぎると下痢をする・吐き気・息切れ・ものを言うのがおっくう・倦怠感など

 

 

 

2.脾胃陽虚型(胃腸虚弱がさらに進んだ状態・冷えの症状が顕著)

  お腹が空かない・少食・食べるとお腹が張って吐き気がする・お腹の鈍痛(持続性或は一過性)・寒さが苦手で腹巻は欠かせない・お腹に手をあてると心地いい・軟便或いは下痢・冷たいものですぐに下痢をする・疲労倦怠感・息切れ・手足の冷えなど

 

 

 

3.肝胃不和型(ストレスの影響)

お腹が空かない・しゃっくり・げっぷ・抑うつ感・胸苦しい・胸や脇が張ったり痛んだりするなど

 

 

 

4.脾胃湿熱型(脂っこいものや甘いものの過食・菌やウイルスの感染)

悪心・嘔吐・食べ物を見たりにおいを嗅いだりするといやになる・上腹部がつかえて苦しい・悪心・吐き気・口喝・口が粘る・口が苦い・ベトベトの軟便でスッキリ感が無い・尿量が少なく濃い・倦怠感・目ヤニ・頭重・皮膚病など

 

 

 

5.傷食型(飲食物の過剰摂取か消化の悪いものを食べて引き起こされる)

食べ物を見たりにおいを嗅いだりするといやになる・げっぷ・酸っぱいものがこみ上げる・上腹部の膨満感・臭い便or便秘

 

 

 

この記事を書いた人: 国際中医専門員 医薬品登録販売者 三ツ川道洋
この記事を監修した人: 薬剤師 三ツ川亜希

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