朝目が覚めると体が重く起き上がることが出来ない、やっとの思いで起き上がったとしても血圧の調整がうまく行かず、めまい等の症状を引き起こす病気を起立性調節障害といいます。起立性調節障害は、思春期で最も起こりやすい疾患の一つであり、約5〜10%が発症すると言われています。日本小児科学会によると中高生全体で約70万人、各学年に約12万人いると推定されています。軽症を含めると男女合わせて4割以上に及ぶという報告もあります。

 

 

 

起立性調節障害の症状
  • 朝なかなか起きられず午前中は調子が悪い
  • 立ちくらみやめまいがある
  • 立ち上がった時に気分が悪くなったり失神したりする
  • 入浴時や嫌なことがあった場合に気分が悪くなる
  • 動悸・息切れ
  • 倦怠感・疲れやすい
  • 顔色が青白い
  • 食欲不振
  • 腹痛がある
  • 頭痛がある
  • 乗り物酔いしやすい

 

 

 

起立性調節障害とは

健康な人は、横になった状態から立ち上がった時にいったん血圧が下がりますがすぐに元の血圧に戻ります。ところが起立性調節障害の人は、立ち上がった時に血圧がすぐに戻りません。2〜3分経っても元に戻らない場合は、起立性調節障害が疑われます(起立直後性低血圧)。

 

 

 

人は立っている状態で重力の影響を受けずに頭のてっぺんに血液を送ることができているのは、自律神経の働きによって下半身の血管を収縮させて血液を上へと送り帰してくれているからです。しかし、起立性調節障害になるとこの自律神経がうまく働いてくれないために、下半身の血管がうまく収縮することが出来ず、血圧がすぐに戻らなくなってしまいます。

 

 

 

それからもう一つ多く見られるのが、血圧の回復には異常はないが、脈拍が異常に早くなるタイプがあります(体位性頻脈症候群)。

 

 

 

上記2つよりは少ないですが、起立中に急激な血圧低下によっていきなり失神するタイプ(神経調節性失神)と、起立を続けることにより徐々に血圧が低下して失神に至るタイプ(遷延性起立性低血圧)があります。

 

 

 

改善のポイント

家族や周囲の理解

起立性調節障害は、気合でどうにかなるものではありません。心の問題ではなく、身体疾患ということを家族がしっかり理解して、根気強くサポートをしてあげて下さい。けっして「怠けている」分けではないことを理解し、真面目な子がなりやすいと言われていますので、心のケアが大切になります。

 

 

 

姿勢の工夫

布団から起き上がる時は、すぐに起きようとせずに足首を回して血流を促すようにします。いざ起き上がるときは、ゆっくり起き上がり、うつむいた状態を30秒ほどキープしてゆっくり頭を上げます。椅子から立ち上がるときも同じように頭を下げたまま30秒・・・。立っている時は、足を動かしたり、クロスさせたりして、下半身にたまった血液を動かしましょう。

 

 

 

水分補給

水分を1.5〜2Lを目標に摂るようにしましょう。水分を多く摂ることで血液量が増えて、血圧を維持する効果が期待できます。※水毒がある方は、おススメしません。

 

 

 

生活リズムをとる

自律神経は、悪いリズムで生活しているとその悪いリズムに合わせて調整します。起立性調節障害は、自律神経の病気ですので、そうなるといつまでも改善しません。ですから辛くても日中は起きるようにして、散歩したりすることが大切になります。どうしても起き上がれない日は、上半身をあげて頭の位置を心臓よりも高い位置にして、せめて過ごしてください。夜は寝る3時間前から準備をはじめて、例えばテレビやスマホを見ない、部屋の明かりを暖色に変えたり暗くして、10時から11時には布団に入るという習慣をつけましょう。そうすると自律神経は、自ずといい方向に調節してくれるようになります。

起立性調節障害と漢方

起立性調節障害になると自律神経がうまく働いてくれないと先ほどお伝えしましたが、漢方的に表現しなおすと陰陽消長の乱れと言い換えることが出来ます。陰陽は、時間に合わせて絶えず増えたり減ったりを繰り返します。朝太陽が顔を出すと、自然界は徐々に陽気につつまれ、昼に陽気が最高になり、そこから徐々に陽気は減って行きます。陰はその逆で朝から昼にかけて減って行き、夕方から夜に向けて増えて行きます。日中は陽>陰となり、夜間は陰>陽となります。絶えずこれを繰り返します。これが陰陽の消長です。これは自然界だけでなく人間の体にも陰陽消長があり、起立性調節障害は、この陰陽消長が6時間ほどズレてしまっていると言えます。

 

 

 

具体的には、朝6時はこれから活動していくために陽気を盛り上げていかなければならないタイミングなのですが、起立性調節障害になると体内はまだ夜中の0時で、陽が一番少なく陰が一番多い状態で、体は陰に支配され活動するどころの状態ではありません。朝起きれないのはこのためで、お昼に徐々に動けるようになるのは、陽気がようやく盛り上がって来たからと言えます。漢方の治療としては、朝と昼は陽を盛り上げ、夕方は陰を盛り上げてあげると、自然と陰陽消長のリズムを取り戻すことができます。補陽薬と補陰薬の使い分けがポイントとなります。

 

 

 

私は中学生の時に起立性調節障害になりました。当時はそのような病気にかかっているとは知らず、大変つらかったことを思い出されます。あの当時に漢方薬があれば随分違っただろうなと思います。中学高校という時期は、人生において大きな割合を占める大切な時ですから、漢方薬でお役に立ちたいと思っています。是非ご相談下さい。

 

 

 

漢方の和歌ノ浦薬局 三ツ川道洋

 このエントリーをはてなブックマークに追加