現代において11月は「秋深し」というところですが、暦の上では立冬を迎える季節。もう冬の入口です。私は冷え性なので、そんな昔ながらの暦にも頷けてしまうのですが、大抵の人は季節外れな感覚でしょうか。うちの子ども達も、学校へは衣替えとなった冬服で行きますが、家ではまだまだTシャツ短パンで過ごしています。でもこれは、通っていた保育園が半そで半ズボンで過ごすところだったせいかもしれません。お陰で他のお子さんに比べて、ものすごく薄着です。(真冬もせいぜいトレーナーを着るくらいで、セーターは嫌がるので一枚も持っていません)
さて、そんな冬の入口の11月。
まずは『黄帝内経』という中国古来の養生書で冬の過ごし方を見ていきましょう。
「冬は【閉蔵】の季節という
冬の三ヵ月間は 万物の生機が閉じこもる
至る所で川が凍り 地が裂け 天の陽気は万物から遠ざかる」
閉蔵とはしまっておくこと。しまっておく季節が冬となります。
では何をしまっておくのか。
それは生命エネルギーとも言える陽気を、です。
11月〜1月、この3ヵ月はなるべく陽気をもらさないように大切に閉まっておくのです。
ではどうやって陽気を閉蔵するのか、『黄帝内経』で養生法を見ていきましょう。
「冬の養生法・・・
夜は早く寝、朝はゆっくりと起き、
日の出日没に伴って起居すべきである
欲望を潜めながら すでに遂げたような満足感を持つ
体内の陽気を洩らさないように 寒い刺激を避け 体を暖かく包む」
まず大切なことは睡眠です。冬は睡眠をしっかりと摂らなければいけません。
しかも、夜は冷え込む前に早々と寝て、朝も太陽がしっかりと昇って陽気が充満してから起きる。つまりは早寝遅起きをして、陽気をしっかりと守っていきます。
それから、何かをやりたい計画があったとしても、冬には決して根を詰めて行ってはいけません。
冬の間は綿密な計画をしっかり立てておき、春になったら行動に移すのがベストです。
運動においても、冬に全身の毛穴が全開して汗をダラダラかくようなスポーツは不向き。
ゆっくりペースのランニングやウオーキング、または室内でのストレッチなど、身体を少し動かす程度におさえておくべきです。そうしないと、やはり陽気が汗とともに洩れていってしまうのです。
そして日常は屋外でも屋内でも、なるべく身体を冷やすことなく、保温して過ごします。特に手首足首や首元を温めると効果的ですので、室内でも靴下をしっかり履いたり、寝る時にも首元を温められるパジャマを着るなど、冷えたと気付いてからではなく、冷える前の対策を怠らないようにしたいですね。
ではそんな養生をせずに冬を過ごすとどうなるでしょう。
冬によく活動する腎気が傷み、翌春に足がしびれ腰が曲がる病気になると『黄帝内経』にはあります。
中国古来の養生法は今の季節をより良く過ごす為の知恵とともに、病気を予防するための未病にも役立つもの。自然の中で自然とともに暮らすことの大切さを感じさせてくれます。
まだまだ冬の入口の11月から、少しずつ冬の養生法で免疫力を高めていき、風邪やインフルエンザも吹き飛ばして行きたいですね♪
この記事を書いた人: 薬剤師 三ツ川亜希
投稿日: 2019.11.01