2012年9月 36才で結婚
2013年1月〜10月 「ショウキT1」と「棗参宝」を飲む
同年10月 クリニックへ
◆ 多のう胞性卵巣症候群、排卵していない可能性が大(排卵しづらい)
◆ 片側の卵管癒着
⇒ 体外受精をすすめられる
⇒ まずは、クロミッド(排卵誘発剤)を服用しながらタイミング療法
※2回目は、クロミッドを服用しても卵胞の育ちが悪く、クロミッド追加
※3回目は、クロミッドに注射も追加
⇒ 以後、自己注射のみに
2014年2月19日 漢方の和歌ノ浦薬局へ
2013年1月から漢方と鍼灸で自然妊娠を望んでいましたが、10カ月後にクリニックで検査したところ卵管が詰まっていることが分かり、体外受精をすすめられていますが、タイミング療法か人工授精で妊娠したいと思っています。漢方薬で体質改善したら何とかなるかなという思いでいます。
少し寒がり、足がむくみ易くだるくなる、食欲不振、下痢、胃痛、肩こり、眠りが浅い、歯ぎしり、寝起きが良くない、舌質紅、乾燥した舌、ひび割れ
多のう胞性卵巣症候群、片側卵管の癒着、肋間神経痛、膝の痛み
服用2ヵ月
・舌が潤う
・下痢の回数が少し減る
・食欲正常に
・吹き出物改善
・むくみ軽減
・夜中に目が覚めることが無くなる
服用3ヵ月
・生理の量が、約2倍に
・生理前の便秘(−) (−)マークは、無しの意味
・むくみを感じなくなる
・排卵の確認(自己注射のみでクロミッド使わず)
・妊娠検査うす〜く陽性反応も
・足がつる、のどが渇く、胃痛、下痢、舌紅、舌の中央乾燥
服用3ヵ月半
・足のつり改善
・舌が少し潤う
・朝の目覚めが良くなる
・吹き出物(−)、便秘(−)、むくみ(−)、眠い(−)
・高温期36.7℃以上行ったことが無かったのが、越えて安定するようになる
・排卵の確認(自己注射のみでクロミッド使わず)
・生理中の下痢、生理前の下痢、胃が重い
服用4ヵ月
・下痢が復活、過敏性腸症候群と診断される
・今回生理が来なくて、ピルを処方される
・食欲正常、吹き出物(−)、便秘(−)、むくみ(−)、眠い(−)、夜中目を覚ます(−)、寝起きが悪い(−)
服用5ヵ月
・下痢ほぼ改善
・舌がピンクに改善、潤いも、ひび割れが3か所から1か所に減
・生理の塊出ず
・食欲正常、吹き出物(−)、便秘(−)、むくみ(−)、眠い(−)、夜中目を覚ます(−)、寝起きが悪い(−)
・卵胞が充分に成長、卵管が詰まっていない方で排卵、頸管粘液も充分
・人工授精を受ける
服用5ヵ月半 妊娠報告
⇒漢方薬継続
2014.08.15 心拍確認
2015.01.09 27週、赤ちゃん順調
37歳(妊娠時は、38歳)女性、結婚から1年5ヵ月。病院の検査では、多のう胞性卵巣症候群と右側の卵管の癒着と診断。多のう胞性卵巣症候群のため、排卵していない可能性が高く、或は排卵したとしても回数が少ない(排卵障害)。このためドクターからは、体外受精をすすめられているとのこと。
そして、体外受精を視野に入れつつ、当面はタイミング療法からということで、来店時には既に3回タイミングを取っておられた。一回目は、クロミッドが効果を発揮し卵胞も育ち排卵にも成功。2回目は、クロミッドを服用しても卵胞が育たず、クロミッドの服用を追加。3回目は、注射を追加。いずれも妊娠には至らず。以後は、クロミッドは休薬し、自己注射のみとなる。
体外受精はいずれすることを考えておられるようですが、その前に体質改善ということで漢方の和歌ノ浦薬局へお越しいただきました。
最初の所見では、陽虚(体の冷え)と気滞(ストレス過多)と判断し、それに合った漢方薬をお出ししました。漢方薬の服用から2ヵ月半後、そこそこ自覚症状が改善(上記漢方服用2ヵ月参照)され、普通は継続というかたちになるのですが、ここで漢方薬の方向性を大幅に転換。
というのも最初の所見ではこの方の体質を、自覚症状から判断するところの陽虚体質(体の冷え)とするか、舌の状態から判断するところの真逆の陰虚体質(漢方的栄養不足による体の機能亢進状態)とするか、少々判断がむつかしく、結局は前者を選んだという経緯があったからです。
時間をさかのぼること服用開始から10日後の漢方相談で、口の中に血豆のようなものが出来ますと訴えがありました。硬いものを食べると口の中が切れて、血豆のようなものができるとのこと。元々できやすい体質ではあるものの、最近その頻度が高いと。漢方薬をはじめて10日間ということと、元々そういう血豆ができやすいということで、たまたまという場合も多く経験しているため、あと半月同じ処方で様子を見ることにした。
半月後。血豆は収まっていましたし、その他の自覚症状も改善傾向に向かい、ホッとひと安心したいところだったのですが、今度は「最近熱でもあるのかなと感じることが多く、同時にのどがすごく乾く。」という訴えがありました。いよいよ陰虚色が濃厚ということで、陰虚に対応する漢方薬を加えて、それでもメインの体をしっかりと温める陽虚対応の漢方薬はそのまま残し、また半月様子を見ることにしました。
そしてその半月後、少し陰虚の対応をしたおかげで、体は熱くなるものの不快とまでは思わなくなったことと、舌の乾燥感が軽減しました。しかし、のどの乾燥は変わらずで、さらに今回は新たに足がつる症状が出現。これも元々つりやすい体質ではあったものの、最近頻発するようになったとのこと。ここでようやく、この方の体質は陰虚のみと判断し、方向性を全面的に変更しました。
方向性が決まってからの約4ヵ月間は、脾と腎の機能アップと栄養補給に焦点をあて、休むことなく次々に対策を施しました。特にもう一歩改善してほしい下痢体質に関しては徹底的に対策。その結果、舌の紅みが薄れ・舌の乾燥が潤い・3ヵ所あった舌のひび割れが1ヵ所となり、完璧ではないものの下痢もほぼ消失、その他自覚症状も改善(上記漢方服用後参照)、基礎体温に関しても36.7℃以上行ったことが無かった高温期も高くなりかつ安定、卵胞もよく育っていると言われ、順調に排卵。
そして、漢方服用開始から約5ヵ月後、1回目の人工授精。本来持っていた卵巣機能が息を吹き返したかのように、卵胞が順調に育ち、頸管粘液もよく出て、これまで卵管が詰まっている右側の排卵が続いていたのが、今回は卵管が通っている左側で排卵、妊娠している気がするとR.N.さんが仰っていた通り、その半月後に妊娠報告をいただきました。おめでとうございます。余談になりますが、女性の勘はすごいですね^^女性全員がそういう能力を持っているとは思いませんが、この方はそう思わせる雰囲気をお持ちの女性です。
妊娠してからは、R.N.さんの健康維持と赤ちゃんの成長発育を応援する漢方薬を服用して頂きました。妊娠すると女性は、誰でも多かれ少なかれ陰虚の状態になります。元々から陰虚体質のR.N.さんにとっては、増々陰虚が進む状態となり、それは赤ちゃんにとっても良くないことですので、妊娠後も引き続き陰虚の漢方薬を服用して頂きました。
現在(2019.1.9)は27週目で、おなかの中の赤ちゃんは順調とのこと。
本症例は、いささか手こずってしまいました。色々と知識が備わっている分、かえって判断が遅くなってしまった感じです。余計な知識がない漢方を始めたばかりの人の方が、案外最初からうまく行けたかもしれないなと思ったりもします。
しかし、この症例のおかげで、多のう胞性卵巣症候群に対する漢方の考え方をさらに深めることが出来ました。R.N.さん、ありがとうございました。
最終更新日:2020.02.13