腰痛と漢方薬

腰痛と漢方薬

わかのうら コラム&news。漢方に関係すること、書き残しておきたいこと、一般の方々に漢方の和歌ノ浦薬局のことについて知ってもらいたいこと、コラムとかニュースとかオールジャンルで自由に楽しみながら書いていきたいと思います。最近は、Twitterやフェイスブックに書くことが多くなっていますが・・・

腰痛、関節痛

2009年7月23日に当店ブログ”はじめよう!漢方生活”で記載した記事からの転載です

 

 

 

腰痛とは、腰部の痛みを主要とする症状を言います。腰部の片側或いは両側に現れ、他の部分の疼痛もよくともないます。

 

 

 

  • 腰から背部にかけての疼痛
  • 腰から尾てい骨にかけての疼痛
  • 腰から下肢にかけての疼痛  等々

 

 

 

腰痛は、菌に感染して起きたり・尿路結石で起きたり・月経時に起きたり・産後に起きたりと、広範囲にわたって関連するので、今回の内容は、あくまでも腰痛が主体のものであって、明らかな器質的病変に関しては別の機会に譲ります。

 

 

 

腰は「腎の府」と言われ、腰痛は腎と密接に関係していると漢方では考えます。腰すなわち腎の府は、腎の精気(生命根源の力)が注ぐところですから、腰痛と言えば、十中九、腎の衰えと考えます。

 

 

 

とは言え腰痛のご相談があれば、まずその痛みは「虚」なのか「実」なのかを考えます。急性病であれば「実証」が多く、慢性病であれば「虚証」が多いと考えれば結構です。

 

 

 

「実証」は、風寒湿邪という外界からの影響を受けたか、外傷による腰痛。

 

 

 

「虚証」は、上でも述べたように体の中の原因と考え、十中八九は「腎虚(じんきょ)=腎の衰え」。

 

 

 

以下は、実や虚を考慮し、良く見られる腰痛のタイプをまとめたものです。

 

 

 

1.風寒の腰痛タイプ(実証)

 

急性に生じる腰痛で、こわばった痛み・ひきつるような痛み・発熱・寒気(悪寒)・頭痛・肩や背中も痛む・酷いと全身が痛む・舌苔薄白

 

 

 

これはいわゆる風邪(かぜ)のこと。

 

 

 

治療法:辛温解表

 

 

 

2.風寒湿の腰痛タイプ(実証)

 

急性あるいは慢性の腰痛・腰部が冷えて重だるく痛む・痛みは増減しながら徐々に症状は悪化する・曇りや雨の日、湿度が高いと悪化する・寒い日に悪化する・酷いと体をひねったり寝返りをしたりすることが辛くなる(運動困難)・舌苔白膩

 

 

 

  • 風寒湿の邪のうちで、風邪(ふうじゃ)に強く影響を受けていると、痛みは遊走する。
  • 寒邪が強いと、痛む場所は固定し、痛みが強い。
  • 湿邪が強いと、痛みよりは重だるくなる。曇りや雨の日、湿度が高いと悪化する傾向にある。
  • 一般的に湿邪が絡む身体の不調や病気は、治りが悪く時間がかかる。
  • 風寒湿の腰痛は治療しないと慢性化しやすいタイプだと言えます。
  • 臨床上は教科書通りには行かず、非常に複雑で、実証タイプ・虚証タイプと簡単に分けることができない場合も多々あり、虚実挟雑証というのがそれにあたる分けですが、先に述べた「腎虚(腎の衰え)タイプ」の人は、虚証ですが、このタイプの人は、容易に風寒湿の邪(実)の影響を受けてしまいますので、虚の人が実邪を受けて「虚実挟雑証」となります。

 

 

 

治療法:散寒行湿 温経痛絡

 

 

 

3.腎虚の腰痛タイプ(虚証)

 

腰痛は慢性的に持続する・揉んでもらうと気持ちがいい・疲労すると悪化する・休息すると少し軽減する・足腰に力がない・足がだるい・息切れ・体が重い・頭のふらつき・耳鳴り・脱毛・歯の動揺・かかとの痛み・夢精・インポテンツ・月経不順・不妊・不育

 

 

 

<陽虚タイプ>
寒がる・四肢の冷え・温暖を好む・活動的では無い・動作が鈍い・尿量が多い・頻尿

 

 

 

<陰虚タイプ>
ほてり・寝汗・活動的・活発・舌は赤く乾燥・苔は無い場合が多くひび割れている

 

 

 

腎虚というは、老化とほぼ同義であるので、このタイプの腰痛は、年齢が上がるにつれ多く見られます。
加齢によらない腎虚の腰痛ももちろんあります。原因としては、長期間の過度の労働・長時間にわたる無理な姿勢、特に座ったまま・腰を曲げての長時間の同じ姿勢・生活の不規則・過度の性生活などが考えられます。

 

 

 

治療法:
<陽虚タイプ>温補腎陽 補腎益精
   <陰虚タイプ>滋補腎陰 補腎益精

 

 

 

腰痛でお困りの方、漢方の和歌ノ浦薬局にご相談ください。椎間板ヘルニアと診断された方でも良くなっておられますので、現在の治療がうまく行ってないからという理由で、あきらめてしまうにはまだ早いかもしれません。漢方薬の専門家が、ご相談させていただきます。

 

 

 

  • この記事を書いた人: 国際中医専門員 医薬品登録販売者 三ツ川道洋
  • この記事を監修した人: 薬剤師 三ツ川亜希