1.アトピー性皮膚炎とは

まず漢方療法の説明に入る前に、西洋医学からみたアトピー性皮膚炎の定義、特徴をご紹介します。アトピー性皮膚炎とは、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの遺伝的なアトピー素因を有する個体に生ずる特殊な慢性、再発性の皮膚炎のことをさします。

 

 

 

アトピー素因とは

  1. 家族歴・既往歴に気管支喘息・アレルギー性鼻炎・結膜炎・アトピー性皮膚炎を有し、
  2. IgE抗体を生じやすい状態

⇒そしてアトピー素因を持った皮膚に刺激が加わることによってアトピー性皮膚炎を発症します。

 

 

 

アトピー皮膚の特徴

  1. 乾燥した皮膚
  2.  ⇒バリア機能の低下

  3. 鳥肌だったような毛孔性角化
  4.  ⇒表皮内の角層と顆粒層が厚くなった状態で、毛孔に一致

  5. 皮膚表面が、魚のうろこの様になっている状態
  6.  ⇒下腿の魚鱗癬様変化

  7. 皮膚をこすると赤くならずに、そこだけ白くなる
  8.  ⇒白色皮膚描記症

  9. アセチルコリン皮内注射後3〜5分で蒼白斑
  10.  ⇒アセチルコリン遅発蒼白反応

  11. 眉毛外1/3の乏毛

 

 

 

年齢別症状

乳児期(2ヵ月から2〜4歳)症状
  1. 生後2〜3ヵ月ごろからはじまる
  2. 頭と顔に角化した皮膚や滲出物がそれらと混じって固まった状態の皮膚
  3. 顔とくに頬が潮紅し、角化した皮膚や掻き傷が見られる
  4. 次第に四肢や体に広がる
  5. ・広範囲に赤くなり、角化した皮膚や掻き傷が見られる

    ・一般的に乾燥性の肌で、掻くことによってジュクジュクしたり、それが固まった状態の皮膚も見られる

  6. 冬に悪化することが多い
  7. 炎症のない場合もある

     ⇒なくてもアトピー皮膚の特徴は、見られる

 

 

 

小児期・学童期(4から12歳)症状
  1. 乳児期から引き続き起こる場合と、一旦治まって再発するケースとがある
  2. ・皮膚の苔癬化が顕著・主体となる

      ・その周りに、赤いブツブツ散在する
      ⇒苔癬化とは:皮膚表面には、細かい溝(皮溝)が交差して、その間は菱形や三角形などに隆起(皮丘)しています。この菱形や三角形、多角形になっている所を皮野と呼びますが、この部分が皮膚病を慢性的に患うことによって、著明になります。これを苔癬化と言います。

  3. 細菌感染・ウイルス感染を起こしやすい

     ⇒伝染性膿痂疹・伝染性軟属腫(みずいぼ)・カポジ水痘様発疹症

  4. 7〜10歳で自然に治癒することも多い

 

 

 

思春期・成人期(12,3歳から)症状
  1. 小児期・学童期から治癒せずに続く場合と、思春期・成人期後から出現するケースがある
  2. 小児期・学童期で主体となっていた苔癬化が、さらに高度化かつ広範囲となる
  3. 好発部位は、顔・首・胸・背中・四肢・手
  4. 加齢とともに乾燥傾向が増す
  5. 劇痒のため掻き傷とかさぶたができる
  6. 下肢に痒疹丘疹を生ずることがある
  7. 成人特有の症状、色素沈着を起こす→首
  8. 顔の潮紅(ぼやっとした赤み)

 

 

 

西洋医学的な治療

症状を抑える対症療法(副腎皮質ステロイド外用薬、抗ヒスタミン内服薬、抗アレルギー内服薬)を行う。悪化させないように、保湿剤などのスキンケアを重視。

 

 

 

参考資料
皮膚科学第8版 上野賢一 大塚藤男著
皮膚病アトラス第5版 西山茂夫著